正義など、どうでもいい。
俺はただ、可愛い嫁から幸せを奪う可能性を、迷わず排除するだけだ。明日も明後日も。
県警本部捜査一課の番場は、二回りも年の離れた身重の妻コヨリを愛し、日々捜査を続けるベテラン刑事。
周囲の人間は賞賛と若干の揶揄を込めて彼のことを呼ぶ――現場の番場。
ルーキー刑事の船越とともに難事件の捜査に取り組む中で、番場は自らの「正義」を見失っていく――。
新江戸川乱歩賞作家が描く、新世代の連作警察小説。
<収録作>
「月に吠える兎」
「真夜中の放物線」
「沈黙の終着駅」
「かくれんぼ」
「蜃気楼の犬」

呉 勝浩
講談社
2016-05-25