第8回ばらのまち福山ミステリー文学新人賞の受賞作が2015年10月30日に発表されました。受賞作は原進一さんの「アムステルダムの詭計」、優秀作は松本英哉さんの「幻想ジウロパ」に決まりました。受賞作は2016年春に原書房から、優秀作は光文社から出版予定です。

第8回受賞作「アムステルダムの詭計」
1965年夏、アムステルダムの運河に浮かんだ日本人死体は、頭部、両脚、手首が切断され胴体だけがトランクに詰められて発見された。当時新進推理作家として文壇に登場した松本清張氏は本事件を小説化するに当たって綿密に取材し、被害者が替え玉であるとの説を唱えた。しかし、後刻自説を撤回するに至る。ヨーロッパの警察機構に加えインターポールも捜査に参画したが、事件は迷宮入りの様相を呈する。(実際に発生した昭和40年「アムステルダム運河殺人事件」をもとにしたフィクション)
原 進一:昭和23年生まれ。兵庫県神戸市出身。東京外国語大学卒。全日空を定年退職。東京都在住。

第8回優秀作「幻想ジウロパ」
神海市旧居留地にある古ぼけたビルの一室。そこは仮想空間『ジウロパ世界』と現実が並存する特殊な場所であった。高校生の日向アキラは、自分のアバターを操作し、遠く離れた家からそのビルの一室に遠隔アクセスした。そこで待っていたのは、セルパンという名のアバターだった。短いやりとりののち、ふたりは口論となり、ついにはアキラの操るアバターがセルパンの喉もとを刀で掻っ切ってしまう。翌日、そのビルの部屋で若い男の遺体が発見された。男は何者かに喉もとを切られ、無惨にも殺されていた。しかもその男は、昨夜セルパンを操作していたプレイヤーであるらしかった。アキラは自問する。「あれはぼくがやったのか?」。果たして男を殺害したのは、本当にアキラなのか。その答えを探るべく、アキラは行動を開始した。
松本英哉:1974年10月12日生まれ。兵庫県出身。兵庫県在住。

第7回ばらのまち福山ミステリー文学新人賞受賞作