私の胸には、理由さえわからぬ大きくて深い悲しみがある。
金魚の化身との奇妙な同居生活!? 勤め先の仏壇仏具販売会社はブラック企業。同棲していた彼女は出て行った。うつうつと暮らす潤は、日曜日、明日からの地獄の日々を思い、憂鬱なまま、近所の夏祭りに立ち寄った。目に留まった金魚の琉金金を持ち帰り、入手した本で飼育法を学んでいると、ふいに濡れ髪から水を滴らせた妖しい美女が目の前に現れた。幽霊、それとも金魚の化身!?漆黒の髪、黒目がちの目。えびせんをほしがり、テレビで覚えた日本語を喋るヘンな奴。素性を忘れた女をリュウと名付けると、なぜか潤は死んだ人の姿が見えるようになり、そして次々と大口契約が舞い込み始める。だがリュウの記憶の底には、遠き時代の、深く鋭い悲しみが横たわっていた――。

金魚姫
荻原 浩
KADOKAWA/角川書店
2015-07-31
定価 1,836円
400ページ