「色で老人を喰う」裏稼業を描く戦慄の犯罪小説。
爺を騙すのは功徳や。妻に先立たれた後期高齢者の九十一歳の老人・中瀬耕造は、六十九歳の小夜子と同居しはじめるが、夏の暑い日に脳梗塞で倒れ、一命を取り留めるも意識不明の重体に陥る。だか、裏で小夜子は結婚相談所を経営する前科持ちの男、柏木と結託していた。病院へ駆けつけた、耕造の娘である尚子、朋美は、小夜子の本性を次第に知ることとなる――。結婚相談所の男と、結婚したパートナーと、死別を繰り返す女につきまとう黒い疑惑。恐るべき“後妻業”の手口と実態。「黒川節」炸裂、欲に首までつかった人々が奔走する。犯罪小説の手練れが、身近に忍び寄る新たな「悪」を見事に炙り出す。直木賞受賞第一作。

後妻業
黒川 博行
文藝春秋
2014-08-29
定価 1,998円
413ページ