ミラーワールドの少年マルテは、友人の実験に協力するために降り立った地上世界で、リヱカという人間の少女に出会う。リヱカは友情の印にとんぼ玉をマルテにわたし、マルテはお返しに時間を折りたたむことができるピーナツをわたす。元の世界に戻ろうとしたマルテは、なぜか未来の地上世界に行ってしまい、孫娘と暮らす老婦人となったリヱカと再会する。リヱカは50年間、ピーナツを大切に持っていたのだった。マルテは賢い猿のイススリウス師に導かれ、女王リルンカ一世が統べる地中世界アタラクシアへ。マルテは前世の姿である少女マルタとしてよみがえり、ジャッカルの頭を持つマルコシアスや、多くの翼を持つ乙女マリ=ジャンヌら異形の仲間たちと合流する。軍隊に追われる仲間たちを救うべく、マルタは二つの剣を手にして立ち向かう。女王が聖なる生き物と敬う蝉の分身パンベロ―と共に、マルタたちは地上世界を経てミラーワールドへ戻ることを決意する。しかし、仲間たちは地中世界へ行った記憶を喪い、一人ずつ姿を消していくのだった。最後のひとりとなったマルタは、再びリヱカと会うことは出来るのか? 世界と時空を超える想いを壮大なスケールで描いた大冒険譚。  ● 講談社  予価 1,728円 

☆ 著者の他作品
首鳴り姫
岡崎 祥久
講談社
2002-09